自動売買インフラの用意(4. 機器の故障対策を意識する)

自動売買インフラの用意(3. 停電対策を意識する) では、通信環境の障害対策の観点から、自動売買環境を自宅に置くのか、VPSサービスを利用するのか、について綴りました。

繰り返しになりますが、自動売買を実現するために考えなければならないのが、どんな環境で MetaTrader を24時間稼働させるか、という点です。

今回は、通信環境と同等に重要な「停電対策」についてポイントを挙げてみます。

 

MetaTrader で 自動売買をするためのインフラ要件

  1. 稼働環境に適切な投資であること
  2. 通信環境に障害対策が施されている
  3. 停電対策が施されている
  4. 稼働する機器に故障対策が施されている ←ココ
  5. OS のリソースを MetaTrader がほぼ独占できる
  6. その環境が稼働不能になっても、別の環境でも継続稼働できる

 

4. 機器の故障対策

機器はかならず壊れることを前提にしよう

MetaTrader を24時間連続稼働させるということは、そのプログラムを動かすための機器も24時間連続稼働することにほかなりません。24時間連続稼働、しかもウィークデイ5日間を連続稼働させることにより、稼働時間に応じて機器も消耗します。機器は消耗してくると故障率は高まります。機器が故障すると、MetaTrader の連続稼働ができなくなります。MetaTrader が連続稼働できなくなれば、EA を使った自動売買もできなくなります。資産運用の停止に結びつくのです。

機器の故障を意識しなければならないのは、自宅運用派の場合です。自宅運用をするということは、自宅に MetaTrader を常時稼働させるための機器が必要です。前述の通り、機器には故障がつきものですので、対策をするとすれば、予備機を用意しておき、本番機が故障した場合に予備機に切り替え、自動売買を継続させる、つまりBCP、事業継続計画と同じ観点で運用することが必要になります。その点、VPS運用の場合は機器の故障はあるでしょうが、BCP観点での対策はVPSサービスを提供する会社に任せることができます。リスクの転嫁です。

このリスクを受容、すなわち、自宅運用をする場合は、それらを踏まえたリスク管理が必要になります。トレードを行っていくうえでもリスク管理が必要なのに、自宅運用を行う場合には、さらに別のリスク管理が必要になってくるということです。

では、自宅運用はまったく以って現実的でないかというと、そうではありません。どのようなリスクがあるかをしっかりと認識し、リスク管理ができるのであれば、あまり苦労せずに運用を継続することはできると思います。ただ、手間は増えますね。

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「機器」の側面でリスクを考えると、真っ先に思いつくのが、MetaTrader を稼働させるPCの故障です。PCはデスクトップであれノート型であれ、機械的に稼働するパーツを持ちます(タブレット型PCは除けるかもしれません)。機械的に稼働し故障の可能性があるパーツとしては、分かりやすいのはハードディスク。ハードディスクは内部で円盤が回り、円盤に書き込み・読み込みを行うためのアームがひっきりなしに動きます。一般的なPCだと、Serial ATAのハードディスクを使用することになると思いますが、このATA系のハードディスクは、メーカで保証する連続稼働時間は8時間と言われています。逆に、サーバ機器で使用するような SCSI系のハードディスクは、24時間連続稼働が保証されています。しかし、SCSI系、主流の SAS (Serial Attached SCSI) のハードディスクを一般的なPCが搭載することはほとんどないのではないかと思います。ハードディスクの故障は、システム停止に直結するとともに、MetaTrader の稼働環境だけでなく、EA のバイナリやソースコードのロストにも繋がります。SATA のハードディスクで冗長化(RAID)構成を組むことで、ハードディスクが1本故障しても運用を継続させることもできますが、例えば、RAID1(ミラーリング)ならハードディスクが2本必要ですし、RAID5 や RAID10 を組む場合は、数倍のハードディスクが必要になり、初期コストがかさみます。最近は、SSDハードディスクのGB当たりの単価も下がってきているので、SSD を使用することで機械的な故障を回避することもできますが、SSD には書き込み寿命がありますので、常に正常性を確認し、書き込み上限に達する前に交換が必要になってきます。また、ハードディスク以外にも、内蔵されているファン、電源ユニットなども代表的な故障パーツであり、そういった故障リスクを考えるのであれば、VPS を利用するメリットは十分にあると言えます。

 

自宅運用派?VPS運用派?

機器故障による障害対策の観点で、私は「VPS運用派」です。ただ、100% VPS 運用には限界があると思っています。この「運用」の定義は、MetaTrader で自動売買させるだけでなく、コーディングやバックテストも含んでいます。VPS はそれなりにお金を積まないとハイスペックな環境は得られないので、バックテストや「最適化」を実行しようとすると、同一サーバで MetaTrader の本番稼働をさせている場合は、その稼働に影響が出るような負荷をかけてしまうことになります。高負荷な状態が続くことにより、スリップして機会損失するのではなく、注文を出す側の動きが緩慢になり、値動きについていけなくなる恐れがあります。VPSサービスによっては、高負荷な状態が続くとサーバの強制シャットダウンの対処がなされることもあります。なので、私が実際にやっているのが、勝手に命名すると「ハイブリット型」です。MetaTrader の本番運用は VPS 上で24時間連続稼働させ、コーディングやバックテストは手元のPCで、という組み合わせです。もちろん、手元のPCも故障する前提を持っていないといけませんので、コーディングしたソースコードは、半自動で VPSサーバへアップロードする、Google Drive などに自動バックアップするなどの仕組みを仕込んでおくことで、さまざまなリスクを軽減できます。

結論は?

機器の故障対策の観点から見ても、自動売買環境としてはVPSを利用する、になると思います。ただし、100% VPSで運用するのではなく、PCでできる(やるべき)バックテストやコーディング作業はPCでやるべきと思います。「ハイブリット型」が理想形と考えます。

 

Next:  5. OS のリソースを MetaTrader がほぼ独占できる

 

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